近年、退職代行サービスを利用する人が増えており、特にブラック企業で働いていて辞めづらい人や上司が怖くて退職を言い出せない人手不足を理由に辞めさせてもらえない方々にとって、大きな助けとなっています。退職代行サービスを利用すれば、会社とのやり取りをせずにスムーズに退職できるため、精神的な負担が大幅に軽減されるでしょう。
しかし、退職代行サービスにはさまざまな運営元があり、それぞれ対応できる範囲や強み、料金体系が異なります。適当に選んでしまうと、希望通りに退職できなかったり、追加料金を請求されたり、思わぬトラブルに巻き込まれる可能性もあります。そのため、自分の状況に応じて最適なサービスを選ぶことが重要です。
本記事では、退職代行サービスの運営元ごとの違いを詳しく解説し、さらに最適なサービスを選ぶためのポイントを具体的に紹介します。この記事を読めば、あなたにぴったりの退職代行サービスを見つけ、安心して退職手続きを進めることができるでしょう。
退職代行サービスの運営元は主に3種類!
退職代行サービスには、大きく分けて以下の3種類の運営元があります。
民間企業(一般企業)が運営する退職代行サービス
労働組合が運営する退職代行サービス
弁護士が運営する退職代行サービス
この3つの運営元ごとに、対応できる範囲や費用、退職の成功率、交渉力などが異なります。適切なサービスを選ぶために、それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
民間企業(一般企業)が運営する退職代行サービスの特徴とは?
民間企業が提供する退職代行の概要
民間企業が運営する退職代行サービスは、市場に最も多く存在し、手軽に利用できる点が魅力です。基本的に会社に対して「退職の意思を伝える」ことを代行してくれるサービスであり、費用も比較的安価なことが特徴です。
特に、「とにかく早く辞めたい」「コストを抑えて退職代行を利用したい」という人に向いています。
民間企業(一般企業)が運営する退職代行サービスのメリット
民間企業(一般企業)が運営する退職代行サービスのメリットは以下のとおりです。
リーズナブルな料金設定
民間企業が運営する退職代行は、30,000円~50,000円程度の料金が相場です。労働組合や弁護士が運営するサービスと比べると費用が安く、手軽に利用できます。
スピーディーな対応が可能
ほとんどのサービスが即日対応を提供しており、「今日辞めたい」と思ったらすぐに手続きを進められます。また、24時間対応のサービスも多く、夜間や休日でも相談可能です。
相談手段が充実している
LINEやメール、電話などで気軽に相談できるサービスが多く、利用者がストレスを感じることなく退職手続きを進められます。
民間企業(一般企業)が運営する退職代行サービスのデメリット
民間企業(一般企業)が運営する退職代行サービスのデメリットは以下のとおりです。
会社との交渉ができない
民間企業が運営する退職代行は、法的な交渉権がないため、「未払い給与の請求」や「有給消化の交渉」などを行うことができません。もし会社が強硬な態度をとった場合、依頼者本人が交渉する必要が出てきます。
サービスの質にバラつきがある
運営企業の質に差があり、悪質な業者を選んでしまうと、「追加料金を請求される」「退職できなかった」などのトラブルが発生する可能性もあります。
② 労働組合が運営する退職代行サービスの特徴
労働組合が提供する退職代行の概要
労働組合が運営する退職代行サービスは、一般企業の代行サービスとは異なり、団体交渉権を持っています。このため、会社との交渉が可能で、未払い給与の請求や有給休暇の取得なども代行してもらうことができます。
労働組合法に基づき、労働者が団結して企業と交渉を行う権利を有するため、企業が対応を拒否することは基本的にできません。特に、未払い賃金の回収や退職時のトラブル対応に強く、ブラック企業での勤務経験がある方や、退職時に企業側と揉める可能性がある方におすすめです。
労働組合が運営する退職代行サービスのメリット
労働組合が運営する退職代行サービスのメリットは以下のとおりです。
労働組合は、法律上「団体交渉権」を持っているため、会社と正式に交渉することができます。これは、民間企業が運営する退職代行サービスにはない強みです。
例えば、
- 有給休暇を取得したい
- 退職金を請求したい
- 未払い給与を支払ってほしい
といった要望を、利用者の代わりに労働組合が企業と交渉することが可能です。
企業側は労働組合からの交渉を無視できないため、退職時のトラブルを防ぐ上で非常に有効です。
有給消化や未払い給与の請求が可能
一般的な退職代行サービスでは、有給消化や未払い給与の請求を行うことができませんが、労働組合が運営する退職代行であれば、会社側との交渉を通じてこれらの権利を主張することが可能です。
特に、ブラック企業では退職時に有給休暇の取得を拒否したり、未払いの残業代を支払わなかったりするケースが多いため、このような問題に対処したい場合は、労働組合の退職代行を選ぶのが良いでしょう。
退職成功率が高い
労働組合が運営する退職代行は、法的な裏付けを持つため、企業側が退職を拒否することがほぼ不可能です。そのため、ブラック企業や強硬な対応をする企業でも、確実に退職を成功させることができます。
労働組合が運営する退職代行サービスのデメリット
労働組合が運営する退職代行サービスのデメリットは以下の通りです。
労働組合への加入が必要
多くの労働組合系退職代行サービスでは、利用時に労働組合への加入が必要となります。加入すること自体にデメリットは少ないですが、「組合費」として数千円の費用がかかることが一般的です。また、退職後に組合を脱退する手続きを忘れると、不要な費用を支払い続けてしまう可能性もあるため、注意が必要です。
即日退職が難しい場合がある
労働組合の退職代行サービスでは、企業との交渉が必要となるため、即日退職が難しいケースがあります。一般的には、退職の意思を伝えたその日から2週間後に正式な退職となりますが、企業との交渉によっては、それ以上の時間がかかる可能性もあります。
費用がやや高め
民間企業が運営する退職代行サービスと比べて、労働組合の退職代行はやや費用が高めです。相場は40,000円~60,000円程度となっており、リーズナブルな退職代行サービスを探している人には向かないかもしれません。
弁護士が運営する退職代行サービスの特徴
弁護士が提供する退職代行の概要
弁護士が運営する退職代行サービスは、法的な権限を持っており、企業とのあらゆる交渉を代行できます。特に、退職時に損害賠償請求をされそうな場合や、会社が違法な手段で退職を妨害している場合には、弁護士のサポートを受けるのが最も安全です。
例えば、会社側が「退職したら損害賠償を請求する」と脅してきたり、「辞めたら懲戒解雇扱いにする」といった違法な圧力をかけてきた場合でも、弁護士が対応すれば確実に合法的な手続きが進められます。
弁護士が運営する退職代行サービスのメリット
弁護士が運営する退職代行サービスのメリットは以下のとおりです。
法的に確実な退職が可能
弁護士が運営する退職代行サービスでは、企業とのやり取りをすべて合法的に処理できるため、会社がどのような対応を取ってきたとしても、確実に退職できます。特に、ブラック企業で違法な拘束を受けている場合でも、弁護士の力を借りることで円滑に退職手続きを進められます。
損害賠償請求や訴訟対応が可能
企業が退職を妨害したり、違法な対応を取った場合でも、弁護士が交渉し、必要に応じて訴訟を起こすことが可能です。例えば、以下のようなケースに対応できます。
退職を理由に会社が損害賠償請求をしてきた
退職後に未払いの給料やボーナスを受け取れない
パワハラやセクハラを受けていたので、慰謝料を請求したい
弁護士に依頼すれば、これらの問題を合法的に解決できるため、より安心して退職することができます。
弁護士が運営する退職代行サービスのデメリット
弁護士が運営する退職代行サービスのデメリットは以下のとおりです。
費用が高額になる可能性がある
弁護士が運営する退職代行は、50,000円~100,000円以上の費用がかかることが一般的です。また、交渉や訴訟が必要になった場合は、追加費用が発生することもあります。そのため、コストを抑えたい人には向かない選択肢と言えるでしょう。
即日対応が難しい
弁護士が対応するため、一般の退職代行サービスよりも手続きに時間がかかることがあります。特に、企業との交渉が必要な場合は、退職が完了するまでに数週間~数ヶ月かかるケースもあるため、スピード重視の方には不向きかもしれません。
おすすめの退職代行サービスは労働組合か弁護士運営
上記までの内容を踏まえるとおすすめの退職代行サービスは、労働組合か弁護士が運営する業者と言えます。
理由は簡単で一般企業の退職代行には費用が抑えられるメリットがある一方で、法的交渉ができません。退職の意思を伝えるだけでは退職代行を利用するにあたり業務内容的に物足りない場合がほとんどだと考えられますので、利用するならば
- 労働組合運営の退職代行
- 弁護士運営の退職代行
のどちらかがおすすめです。
おすすめの労働組合運営の退職代行

おすすめの弁護士運営の退職代行

自分に合った退職代行サービスを選んでスムーズに退職しよう!
退職代行サービスは、運営元によって対応範囲や強みが異なります。費用やスピード、交渉力などを考慮し、自分にとって最適なサービスを選ぶことが重要です。
- 手軽さを重視するなら、民間企業の退職代行
- 有給消化や未払い給与の請求もしたいなら、労働組合の退職代行
- 法的に確実に退職したいなら、弁護士の退職代行
それぞれの特徴を理解し、安心して退職できるサービスを選びましょう。